純正カウル補修

お問い合わせがおおいのでまとめてみました。しっかりとご理解のうえご相談ください。

以前から研究対象としても需要と言う意味でも大変興味があったバイクの純正カウル・サイドカバー等のPP素材の補修、溶着である程度のことはできても完全な補修方法はありませんでした。
メーカーから純正部品の供給があるうちはいいのですが、年式、車種によっては入手不可能なものもでてきます。
下画像のHONDA CB750F(900も共通)もまさにその一例で現在では新品の購入は不可能、現存するものを大切に使うしかなくなっています。
ですが、このPPという素材使っても使わなくても時間と共にもろくなりどんなに大事に使っても時としてあっけなく欠けてしまいます。

  


その上サイドカバーの場合取り付けに使うダボ(ポッチ)がなくなっているものも多く見られます。
まず、吟屋工房ではこのダボの再生から着手しました。理想は同じ側のサイドカバーの壊れていないものから採寸できればいいのですが、無い場合は逆側サイドカバーからダボを複製します。
工程としてはシリコンによる型どり+オリジナル配合のレジン材料での製作となります。
以前より当社製品に付属するエンブレムにこのレジン素材は使用しており、直射日光の当たる環境で数年使用してもまったく劣化がないことを確認しております。

表面の欠損部分はFRPブロックより削りだして表面形状を再生した部品を作ります。


さて、あとは純正サイドカバー・レジン製ダボ・FRPパーツこの3点を合体させればいいわけですが、試した方も多々いらっしゃると思いますがエポキシ系接着剤でボテボテに付けてもその時は付きますがいくらもせずに剥離してきます。
これはエポキシ系接着剤は強いのですが硬すぎてFRPやPPのしなりや温度変化など外的要素からくる伸び縮みに対応しきれないからです。
当社で販売しているFRP専用接着剤もFRPの特性に合わせて製造している為、PPやレジンの特性には対応できません。

そこでさらにこのFRP専用接着剤の配合を変えてよりフレキシブルな特性の接着剤を作りました。
FRP専用接着剤同様、販売できればよかったのですがPPの場合各メーカーや販売時期等により配合がことなりそれによって接着剤自体の配合も変えなければ接着できないことがわかりました。

現在も更なる研究を続けていますが、今の段階で補修できるのはカワサキ車ではGPZ900Rあたりまでの年式のバイクまででZZR系は不可です。
大体の目安としてGPZ900Rの外装と同等の厚みがあるものは大体補修可能なようです。

  


追記

さらなる精度追求の為、破損箇所再生用の型とダボ位置だし用のゲージを製作しました。
左下画像は製品誤差やモデルによる形状の違いなどを確認するために集めたCBのサイドカバーです。

  
  
左下画像:この型とゲージがあればサイドカバーの状態にかかわらずダボの位置が完全に出ます。
表面の欠損部分も型を使いFRPで再生します。
実際の作業は右下画像のように破損したサイドカバーを型にセットしてからゲージにダボをはめて位置を確認します。
  

仕上がりイメージを判りやすくするために軽く色を飛ばしてみました。
純正のダボと見比べても違和感なく仕上がりました。

  
ダボや接着部分の強度に関しては明らかに純正レベルを上回っていて、裏を判らない程度の厚みまで削っても使用に問題ない強度を保てます。

本気で修理したい方はとりあえず画像のやり取りが出来るメールにてご相談ください。


できれば現物をもってきていただいての相談、見積もりが理想ですが、どうしても来れれない方の場合送っていただいての作業見積もりも可能です。
直送での見積もりの場合、修理をするしないにかかわらず往復の送料がかかることをご了承ください。

自動車純正バンパーの加工・修理は受け付けておりません。

CB750Fサイドカバー復刻版製作について